Vice
悪徳、悪習、欠点;副〜(vice president など);万力(主に英式綴り)
源流
Vice の核心的な物理イメージは、もともと「物や性質に入った欠け・傷・ゆがみ」が、やがて人間の内面のゆがみとして見られるようになったもの。
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欠陥 + 習慣化 + 自己支配の喪失 = 悪徳
深層理解
Vice の中心には、単なる「悪い行為」ではなく、人格や制度の中に入り込んだ構造的なゆがみという感覚があります。語源的にはラテン語 vitium「欠陥・傷・過失・悪徳」に結びつき、もともとは道徳以前に「何かが本来の健全な形からずれている」状態を指していました。
現代英語で vice と言うと、特に酒・賭博・薬物・性的放縦など、快楽と結びついた悪習を指すことが多いです。重要なのは、vice は一回の失敗ではなく、繰り返されることで人を支配する習慣化した弱さを表す点です。sin が宗教的な「罪」に近いなら、vice は人格に染みついた「悪い癖・悪徳」です。
Virtue「美徳」と対になる語としての vice は、人間理解の深い対立軸を作ります。virtue が自分をより自由にする力なら、vice は快楽に見えて実は自分を狭める力です。つまり vice の本質は、外から罰せられる悪ではなく、内側から自分を少しずつ縛る自己破壊的な傾きです。
一方、vice president などの vice- は別系統で、ラテン語 vicis「交替・位置・代理」に由来し、「〜の代わりに」「副〜」という意味です。これは moral vice「悪徳」とは語源も意味も異なるため、混同しないことが大切です。vice president は「悪い大統領」ではなく、「大統領の代わりを務めうる副大統領」です。
さらに英語では vice が「万力」を意味することもありますが、これは主にイギリス英語の綴りで、アメリカ英語では vise と書くのが普通です。この意味では、二つのあごで物を強く挟む道具を指し、比喩的に in the grip of vice「悪徳に締めつけられている」と重ねて理解すると、語感としては非常に覚えやすくなります。